
「設備を入替えるのとあわせて、廃掃法14条処分業許可からステップアップして、15条設置許可を取りたいです。」
このようなお問い合わせを多数いただいてきましたが、実際に動き出す案件は極僅かです。
収集運搬業(積替え保管を除く。)許可を小学校とするならば、積替え保管を含む収集運搬業許可は中学校、
14条許可は高校、15条許可は大学(破砕、脱水、中和、焼却、最終処分などそれぞれまたレベルが違います。)
と表現したりするのですが、実際にはそれよりも遥かに大きな隔たりがあります。
その隔たりについて説明をすると、「そんなに難しいのならやめておきます。」というご返答をいただくことが多いです。
難しいからやめるというより、「ほぼ不可能だから挑戦しない」という方が正確です。
では、一体15条許可の何がそんなに難しいのでしょうか?
必要な資料が増えたり、審査の項目が増えて内容が厳しくなることで、予算や時間の折り合いがつかなくなるのも大きな要因です。
しかし、それ以上に大きな要因、「真の関門」があるからです。
そもそも15条許可とは

例えば、廃プラスチック類を処理するために、廃プラスチック類の処理能力が5t/日以上の破砕機を導入するとします。
この場合、15条許可が必要となります。
ところが処理能力を見直し、処理能力が4.9t/日になった場合には、15条許可は不要となります。
許可の要否には明確な基準があり、それは廃掃法15条に紐づく同法施行令7条に列挙されています。
https://laws.e-gov.go.jp/law/346CO0000000300#Mp-Ch_3-At_7
ここに列挙されている処理施設がいわゆる「15条施設」で、これに該当する場合には15条許可が必要となります。
(このように列挙されたものに該当したものだけが15条施設となるため、法学的に「限定列挙主義」といわれます。)
そのような一定規模以上の処理施設の場合、周辺環境に及ぼす影響が大きいものと予見されます。
それゆえ、15条許可は14条許可よりも審査項目が増え、審査が厳しくなるということなのです。
そして、審査が厳しいということは、廃掃法の分野に限ったことではありません。
補足説明――14条許可と15条許可について
15条許可は、公害防止の観点から技術上の規制を設けたもので、14条許可の上位許可といえます。
14条許可と15条許可の明確な違いは、15条は廃掃法に基づく「生活環境影響調査(生活環境アセスメント)」の実施や「技術上の基準」、「維持管理の技術上の基準」といった両基準の順守といったことが挙げられます。
14条許可とは正直なところ次元が違ってきます。
14条許可が簡単というわけではないのですが、15条許可のような技術上の規制がないため、
技術上の論点より騒音、振動や粉じん、排水、廃棄物の保管基準、使用道路安全対策、近隣住民との調和といった
基礎的な事項が主要論点となります。(15条許可でもこれらは当然クリアの必要あり。)
14条許可は、第三者より産業廃棄物を受入れ、処理をする営業行為に関する許可なので、
いわゆる営業許可として申請者(法人又は個人)に与えられるという性質(ソフトに許可)がありますが、
15条許可は、「施設ごとに許可」という原則があるため、
例えば、破砕機が2機ある場合は、同じ敷地内であっても原則15条設置許可は2件申請、2つ許可(例外もあります。)となることが原則で、施設に与えられるという性質(ハードに許可)があります。
真の関門――都市計画審議会(都道府県)

15条許可取得のゴール直前には、「都市計画審議会」(以下、都計審)という関門があります。
15条許可申請手続きと同時並行で、建築基準法51条ただし書許可〔大規模特殊建築物の敷地の位置の決定(敷地の都市計画決定)、大規模特殊建築物の許可。超訳:都市インフラの許可。〕が必要となります。
「廃掃法15条許可+建築基準法51条ただし書許可」この2つの許可を合わせて、
初めて工場新築・改築や処理設備導入の工事に着工することができます。
逆にいうと、この2つの許可のうち、どちらかが欠けても工事に着工することはできません。
都道府県によって扱いは違いますが、実務上はこの2つの許可は同日付でなされることが多いです。
(行政手続法上、どちらか先行している方が先に許可されるということが原則なので、どちらか先に許可される事例もあります。
ただし、両許可がないと工事着工できないことは先に記載のとおりです。
さて、都計審の構成員ですが、委員として任命された学識経験者や都道府県議会議員の先生方や国の機関の責任者(例:土木事務所の所長)、都道府県の機関の責任者(例:県警本部長)が出席し、ダム、卸売市場、火葬場や汚物処理場などの
いわゆる「迷惑施設」の新築・増築・用途変更が、都市計画(街作りのルール)上支障がないかどうかの審議を行います。
(詳細は後述しますが、15条施設もこの「迷惑施設」に分類されます。迷惑施設という表現は、資源循環、廃棄物リサイクルにとって
要となる15条施設に対してとても失礼な表現で好みませんが、残念ながら一般的な括りなのでご容赦ください。)
都計審というのは、「この街のその場所に迷惑施設を作っても良いか、都市インフラの観点からの大枠チェック」という重要な役割を担っているのです。
(15条許可は都道府県の都計審に諮られますが、廃掃法8条一廃設置許可は市町村の都計審に諮られます。
同じ廃掃法が根拠なので似たものと誤解されますが、産廃は排出事業者責任、一廃は市町村の処理責任というように責任主体が違うので、見えない法的な壁があります。8条許可と都計審については、別の記事で記載します。)
都道府県にもよりますが、都計審の年間開催回数は限られており、人口が少ない県であれば案件発生主義で開催が決まり、
概ね定期開催の道府県では平均年2回ほど(東京都だけ多い年で年4回開催)しか開催されません。
そのため、都計審に諮られるタイミングを逃せば数か月単位で計画が遅延し、仮に審議で否決されれば
計画そのものが根本から見直しを迫られます。
最悪、計画のとん挫もあり得ます。
そうならないよう、都計審を目指して数年単位でスケジュールを組み、絶対に遅れることがないように着実に駒を進め、
否決されることがないように関係行政機関と数十回にも渡る事前の調整を図ります。
(都計審での説明・質疑応答は申請者でも廃棄物所管課でもなく、
建築基準法を所管する課の課長さんが行うことが通例です。こちらも後述します。)
都計審を「真の関門」と呼ぶ理由がここにあります。
これまでの説明から、15条許可を取ることは茨の道に思われるかもしれませんが、
裏を返せば、厳しいいくつもの審査行程をクリアして有識者の了解も得た、優良施設・事業者ということでもあるのです。
「いつかは15条!」と野心に燃えるクライアント様もおられるほどです。
しかしながら、なぜ14条許可には都計審は関係なく、15条許可にだけ都計審が必要なのでしょうか?
そこには、建築基準法51条ただし書許可が深く関係しているのです。
建築基準法51条ただし書許可を深掘り解説

ステップ1:「その他政令で定める処理施設」の新築・増築は原則禁止
廃棄物処理法とは全く別の法律、建築基準法の解説です。頭を少し切り替えていきましょう。
建基法51条本文はこう定めています。
「都市計画区域内においては、卸売市場、火葬場又はと畜場、汚物処理場、ごみ焼却場その他政令で定める処理施設の用途に供する建築物は、都市計画においてその敷地の位置が決定しているものでなければ、新築し、又は増築してはならない。」
ここに「その他政令で定める処理施設」という文言がありますが、15条施設はそこに含まれるのでしょうか。
ステップ2:廃掃法施行令7条との繋がり
建築基準法施行令130条の2の2では、このように定めています。
「法第51条本文の政令で定める処理施設は、次に掲げるものとする。(中略)
廃棄物処理法施行令第7条第1号から第13号の2までに掲げる産業廃棄物の処理施設」
ここが決定的なポイントです。
廃掃法施行令7条の施設、すなわち「15条施設」が「その他政令で定める施設」に含まれるのです
よって、廃掃法15条許可が必要な施設は、建基法51条本文の新築・増築禁止規定にかかることになるのです。
(ただし、建築基準法施行令130条の2の3により工業地域又は工業専用地域内における緩和措置があり、
廃掃法施行令7条に規定する処理能力より緩和されています。
例:廃プラスチック類の破砕施設の場合 5t→6tに緩和。木くず、がれき類の破砕施設の場合 5t→100tに緩和。
例えばがれき類の破砕施設で処理能力90t/日の施設の場合、
廃掃法15条許可は必要、建築基準法51条ただし書許可は緩和により不要となります。)
ステップ3:禁止を解除する唯一の手続き
建基法51条本文が新築・増築を禁じている以上、施設を建てるためにはその禁止を解除しなければなりません。
その解除規定は、51条本文の後に「ただし書」として記載されています。
「ただし、特定行政庁(産廃の場合、原則都道府県知事、政令市長。例外、知事が委任した市長。)が都道府県都市計画審議会の議を経てその敷地の位置が都市計画上支障がないと認めて許可した場合(中略)においては、この限りでない。」
禁止を解除するために必要なのは、特定行政庁(都道府県知事等)による許可です。
そしてその許可には、必ず都市計画審議会の議を経ることが法律上の条件として明記されています。
よって、15条施設には都市計画審議会が必須なのです。
特定行政庁(都道府県の建築指導課など。)が「支障ない」と判断したくても、
都計審の議を経なければ許可を出すことができない——これは法的な必要条件となります。
まとめ
条文の連鎖を整理すると次のようになります。
廃掃法15条に該当する。(廃掃法施行令7条にて15条施設の列挙)
↓
建基法51条本文が適用される。(建基法施行令130条の2の2より、廃掃法15条施設が該当)
↓
禁止解除のため、建基法51条ただし書許可(特定行政庁による許可)を要する。
↓
都市計画審議会の議を経ること。
廃掃法15条許可と都市計画審議会がセットになるのは、慣行でも行政指導でもありません。
建築基準法(建築基準法施行令)と廃掃法(廃掃法施行令)の不可分密接な条文上の連鎖によって、
法的に結びついていることをここでよくご理解ください。
都市計画審議会のような審議会を通して許可される案件は、許認可実務においても最上級の難易度となりますので、
経験がない場合は、専門家の活用をご検討された方が無難かと存じます。